空総監対策2−2016年度問2

今回は、空総監試験の2016年度の問2にチャレンジしてみましょう。

問題

2016年度の問題を以下に引用します。

日本測量協会 空総監過去問ページより引用
http://www.jsurvey.jp/gissv/test.pdf

解答の方針

なかなかハードルが高く感じますね。学会に入っていなければアウトのようにも受け取れますが、技術士と同じく資質の向上についての確認が趣旨だと思われるので、細かいことは気にせず普段の取り組みを述べればよいと思います。
ただ、空総監の要件に資質の向上が謳われていない点は、ちょっと気になっています。

日本測量協会 空総監の資格についてより引用
http://www.jsurvey.jp/gissv/gissv2020-01.pdf

それはさておき、問題の骨格とキーワードを拾っておきましょう。

  1. 空間情報技術の研究・技術開発の動向について
  2. どのような手段を用いて(学会、雑誌、書籍等)
  3. どのような方法で学習しているか具体的に述べる
  4. 最近注目している空間情報に関する新技術を1つ挙げ
  5. その技術を簡単に紹介
  6. 注目する理由を述べる

出題者としては、上記1〜3、4〜6でそれぞれ1枚というところだと思います。(1枚は1,440字)
答案作成にあたっては、以下の3つがポイントになると思います。

  • 情報収集や学習方法を具体的に述べること
  • 新技術の内容を具体的に述べること
  • 新技術について実業務への具体的な適用イメージなどを具体的に述べること
  • 全体的に自分の得意分野へ引き込んで述べること

回答案

では、答案を作成してみましょう。まずは骨格を作成します。

  • 学会・雑誌は該当がないので、資質の向上はありのままを記載する(無理すると破綻する)
  • 技術テーマは、ベクトルタイル配信とする(得意分野)
  • 学習方法は、Webでの情報収集(Mapbox社のサイトとGitHub)とプログラミングとする
  • 各種オープンデータの名称などを具体的に記載しGISデータについての知見もアピールする
  • 注目する理由は、現在担当システムの次期システムへの適用とし、地図データ(ベクトルタイル)のオープン化によるQGISの業務適用といった効果を挙げる

上記は私の場合ですので、皆さんの経験を整理して作成してください。
これをもとにした回答案は、以下となります。

受験番号:20−055 氏名:高本 啓司
設問1 空間情報技術の研究・技術開発動向の把握・学習方法
 私は、電機メーカーの技術者として警察向けの通信指令GISの開発と運用に従事している。さらに、会社の許可を得て個人の技術士事務所を兼職で運営している。
 現在、私が担当している警察業務では自社製のGISエンジン(製品名:Quadrix)を採用しており図形データは専用の形式で描画部分も内製している。このことはGISの内部に関する技術力が必要な反面、一般に普及しているGISの利用やデータ交換などには不利に働きがちで、この点を補うことを重視して最新技術の把握や学習を行っている。
ア 空間情報技術の研究・技術開発動向の把握方法
 私は、空間情報技術の研究・技術開発動向について、定期・不定期に分けて情報収集・把握している。
定期的な方法は、国土地理院が発行する地理院広報や地理院時報、ESRIジャパン社が定期的に更新する最新事例紹介、GISを専門とする方のTwitter、日本経済新聞の企業欄や産業欄、インクリメントピー社やESRIジャパン社などの同業者からのメーリングリストなどで情報を収集している。
 次に、不定期な方法は同業者からの情報交換や展示会が中心となる。具体的には、業務上の取引先であるゼンリン社や昭文社、ナビタイム社との情報交換の中で最新のソリューションや研究成果などの情報交換を行っている。展示会については、年1回開催される“G空間Expo”や“地図展”、警察関係の“保安電子通信協会セミナー”には参加し情報収集している。
 このような情報収集の結果、興味ある情報があれば、主にインターネットを使って情報や論文、事例などを収集しより深い知識を取得している。
イ 学習方法
 次に、学習方法について述べる。先程説明した方法で情報を収集し興味ある情報を選別してより深い知識を取得した後に、現在や将来の業務に直接役立ちそうな情報があれば、これを学習し応用できる程度にまで学習している。具体的には、QGISやMapWinGIS、OpenJUMPといったオープンソースのGIS、同様にPostGISやSpatialiteといったオープンソースのデータベース、GDALなどの空間情報処理ライブラリなどを、JavaScriptやPythonといった言語によるプログラミングを通して検証し学習している。
 実例を1つ挙げると、オープンソースGISの学習を開始した当初は、“入門Webマッピング”という書籍を購入し全体像を把握した。この書籍には、前述のGDALをはじめMapServerやPostGIS、Grassなどについて実例を交えて詳細に紹介されている。私の場合は、この情報をもとに検証用のデータをG空間情報センター上に公開されている自治体のオープンデータや政府の統計GIS、国交省の国土数値情報などをダウンロードし、Python言語を使って加工してPostGISへ投入、そのデータをMapServerとOpenLayersを使って地図表示することで、概ねWebGISの仕組みを学習し理解することができた。

(36行✖️40文字)

設問2 最近注目する新技術について
 私が最近注目する新技術は、インターネット上でベクトル地図データを配信し表示する技術である。この技術は、米国Mapbox社が中心となって仕様が策定されオープンソースという形でライブラリなどが流通している。以降に詳細を説明する。
ア ベクトル地図データの仕様と配信
 地図データはMapbox社が定めたMVT(Mapbox Vector Tile Format)形式がデファクトスタンダード化しつつある。MVTは、地図の図郭をGoogleMapと同じWebメルカトルで投影されたXYZタイルを採用し、各タイル内に収容される図形をGeoJSON形式の表現内容をGoogle社が仕様化したProtocol Buffersを用いて符号化している。さらにその情報をGZIP形式に圧縮することで、元のGeoJSONの1/10以下にまで圧縮させてインターネット上をベクトル地図データが流通しやすくしている。
 また、MVTのままでは地図の1タイルが1ファイルとなってしまうためファイルの数が大量となってしまう。これを取り扱いやすくするため、複数のMVTを1つのデータベース(SQLite形式)に収容できる。これは、MBTILESと呼ばれる仕様でMapbox社により策定された。
 次に地図データの配信であるが、MVTであればWebサイトに配置するだけで配信できるが、MBTILESの場合は配信専用のサーバーソフトウェアが必要となる。何種類かのオープンソースが存在するが、使い勝手が良く多機能なのはMapbox社のTileServerGLである。これは、JavaScriptで作成されておりApacheやNGINXなどのWebプロキシと組み合わせて使用するのが一般的である。
イ 地図データの表示
 ブラウザへの地図表示については、Mapbox社からMapboxGLJSと呼ばれるJavaScriptによる描画ライブラリが提供されている。また、iOSやAndroid用、Qt(キュート)と呼ばれるWindows、Mac、Linuxで使用可能なネイティブライブラリもオープンソースで提供されている。MapboxGLJSにおいては、ブラウザに実装された3Dライブラリ(WebGL)を使用することで、非常に高速な3D表示が可能となる。
 また、表示スタイルの編集にはMaputnikと呼ばれる専用のスタイルエディタもオープンソースとして提供されている。
ウ この技術に注目する理由
 この技術に注目する理由は、現在の担当業務で使用している自社製GISエンジンにこの技術を適用することで、QGISによるデータ加工やブラウザによる地図表示、3D地図表示など、これまで投資できずに実現できなかった機能を拡張することができる。具体例を挙げると、QGISの様々な編集機能を使って警察署管轄データの編集や地理的な分析が可能となることや、3D地図による通報場所特定など、お客様へ提供する価値の拡大が期待できるからである。
以上

(36行✖️40文字)

まとめ

今回は、問2について実際に答案を作成してみました。
1週間以上かけて書きましたが、まだ完成度には不満があります。
ただ、及第点は取れる内容だと思っていますが、実際の試験でこの問題に割ける時間は1時間程度でしょうから、短時間で記述する訓練が必要だと思っています。

実際取り組んでみての感想ですが、割と緩いテーマを(ワープロで答案を作成するせいか)字数を多く述べさせているように感じます。私は字数を増やすのが得意ではないので、ちょっと苦手意識を感じます。
対策としては、答案のように”ア項”、”イ項”のように項目を分けることで、1つの説明を400字程度に絞っていく方法がよさそうだと思っています。