WebGISの構築1−背景図の選択
今回からのシリーズは、ブラウザで動作するWebGISをオープンソースソフトウェアを使って構築するための技術要素を紹介していこうと思います。
目標とするのは、都市計画基礎調査データを使った”都市計画GIS”になります。
都市計画GISとは
まずは目標とする都市計画GISについて確認しましょう。
10年以上前の少し古い資料になりますが、国土交通省から”都市計画GIS導入ガイダンス(平成17年3月)”が公開されています。この記資料は、都市計画GISの要件や機能、実装すべきデータが詳細にまとめられています。
https://www.mlit.go.jp/crd/tosiko/GISguidance/index.html
本資料の第3章には、都市計画GISの導入目的を以下のように整理しています。
- 都市計画基図の管理
- 都市計画決定情報の管理
- 都市計画基礎調査の実施
- 都市計画検討に関する各種分析
- 都市計画以外の行政分野における活用
- 都市計画決定情報の公開・提供
- 事業分野における活用
各業務は連載の中で触れていきますが、都市計画基礎調査を中心とした計画、実施、分析業務を効率化するとともに、市民や他部局への情報公開も担うシステムといえそうです。資料の抜粋になりますが、図で表すと以下のようになります。
大阪市のオープンデータの利用
私なりにインターネット上に公開されているデータをいくつか検討したのですが、”大阪市”が最も都市計画GIS構築用のデータを公開しているようでした。具体的には、下記データをほぼ自由に利用できます。(CC-BY)
- ベクトル背景図(DMデータ形式)
- 都市計画基礎調査データ(媒体での借用)
- 番地、号までの住所データ
DMデータの利用
DMデータとは、大阪市などの自治体が作成する1/2,500基本図をディジタル納品するためのフォーマットで、公共測量作業規定にてフォーマットが示されています。このデータを使って、GIS構築用の背景地図データを作成することができます。
大阪市のDMデータは、下記サイト(G空間情報センター)からダウンロードできます。
https://www.geospatial.jp/ckan/dataset/h30-dm-pdf-dxf
DMデータのフォーマットは以下に示されています。(作業規程の準則(付録7 公共測量標準図式)
https://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/jyunsoku/index.html
DMデータは、航空写真から位置精度や紙印刷時の精度を重視して作成された”測量成果”ですので、GISで求められるデータとは少し違います。DMデータをGISで利用するためには加工が必要となります。
今後の連載では、DMデータを加工してWebGISを構築します。
以下は、DMデータから背景図を作成しブラウザで表示するデモ用サイトになります。IE(マイクロソフト社のInternet Explorer)では表示できませんので、他のブラウザをご利用ください。
[blogcard url=”https://labo.takamoto.biz/osakadm.html”]
マウス右ボタンドラッグで3D表示できます。
3D表示が可能で、マウスの右ボタンをドラッグすることにより視点が変わります。
以下の図は、ブラウザ(safari)での表示例となります。
まとめ
今回は、WebGISの構築の一回目ということで、目的とする都市計画GISの概要や背景図として利用するデータの選定を行ました。
次回は、DMデータの仕様を確認します。