空総監対策7−2015年問1

今回は、空総監2015年問1の答案を作成してみましょう。

目次

予想問題

”月刊『測量』2014年11月号”の”三角点・・時流を読む”からの出題です。
内容は、”三角点、10年後「引退」?”と題し、国土地理院の基準点体系分科会の取り組みについて書かれています。
以下に要約を示します。

1.SSP
SSPとは、スマート・サーベイ・プロジェクトの略で、衛星測位を活用し公共測量の効率化やコスト縮減を目的とした検討事業のことである。検討の成果として、「GNSS測量による標高の測量」、「電子基準点のみを既知点とした基準点測量」という2つのマニュアルをまとめた。
2.新聞報道
表題の“三角点10年後「引退」?“は、新聞報道(河北日報のようです)された記事の見出しで、地理院の検討委員会がGPSなどの精度向上に伴い、10年後には基準点として使われなくなるという内容である。
記事の“検討委員会”とは、地理院に設置された「基準点体系分科会」を指し、1990年の第1回分科会に始まり2014年は第5期である。分科会の報告内容は、長期計画に反映され実行されてきている。
3.基準点体系分科会
分科会の第1回報告は1993年3月にまとめられ、20〜30年後を目処に「いつでも欲しいときに、どこでも簡単に、必要とする精度で、必要とする種類の位置情報がサービスできること」としている。その実現に向けては、10年間に全国で50点程度の電子基準点の設置を目指すべきであると提言している。1,300箇所の電子基準点が設置されている現在(2014年)を踏まえ、次の10年間を見据えた提言が、第5期の報告である。
4.古い上着よ、さようなら
SSPの測量方法によれば、三角点を用いずに電子基準点のみを既知点として基準点を設置できる。この方法が広がれば、必然的に三角点の測量の基準点としての役割は縮小していく。今回の報告は、その“覚悟“を決めたのではあるが、”古い上着にさようなら“という宣言はまだであり、それはしておくべきである。
5.どこへ向かうか
では、古い上着を脱いでどこへ向かうのか?それは若い人に委ねたい。第4期報告にて提案された「屋内外を問わずシームレスに測位ができる環境の整備、その方策としての位置情報点の整備」は、一つの方策である。
6.三角点のゆくえ
半島の先端や離島においては測量に三角点が必要な地域があり、山や港の三角点には座標の定まった標識として使われているものもあることから、三角点がすべてなくなることは現実的ではなく、「三角点『引退』」については単純ではないので、一人歩きして欲しくない。

月刊『測量』2014年11月号 ”三角点、10年後「引退」?”より引用

回答案は、1,440字以内(36行✖️40文字✖️1ページ)以内で作成します。
例年の設問には空間情報技術者として感想意見を示せとあり、知識思考力、文章力を問うとも明記されています。

回答案

以下のように回答案を作成しました。

受験番号:05−031
氏名  :高本 啓司
 設問の資料“三角点10年後「引退」?”は、SSPを含む国土地理院における基準点体系分科会の活動内容の紹介と、その成果の一部である電子基準点のみを使った基準点測量への考察が述べられている。以降に、空間情報技術者の立場で感想や意見を示す。
1.基準点分科会の活動内容について
 基準点体系分科会の活動については、1990年に第1期分科会が設置され、2014年の第5期の報告をもとに、国土地理院にて2つのマニュアル「GNSS測量による標高の測量」、「電子基準点のみを既知点とした基準点測量」が整備されたことが述べられている。
 この点への感想は、国土地理院の先見の明にただただ感心した。具体的には、第1回では電子基準点の必要性、第2回では世界測地系への移行、第3回ではセミダイナミック補正、第4回では基準点の管理方法や位置情報点について報告しており、それぞれ数年から数十年先を見越したテーマとなっており、さらにそれを確実に実現している点が大変評価できると感じた。
 一方で、この点への意見としては、国内向けの提言が多くもっと世界に向けた提言があってもいいのではないかと考える。具体的には、技術的にも先端かつ高度で、社会的にも有意義な提言であれば、もっと国内国外問わず広報を通じた宣伝活動を充実させ、ASEAN諸国などと連携して世界的な技術の普及や標準化に貢献すべきではないかと考える。
2.電子基準点のみを使った基準点測量の課題について
 次に、電子基準点のみを使った基準点測量については、SSPの測量方法により三角点を用いずに電子基準点のみを既知点として基準点を設置できるが、この方法が広がれば、必然的に三角点の測量の基準点としての役割は縮小していくが課題もあることが述べられている。
 この点への感想は、電子基準点のみを使った測量により、測量成果の精度が向上し、作業効率も上がることで、測量の生産性が大きく高まると感じた。
 一方で、この点への意見としては携帯キャリアなどの位置情報を使ったサービスを提供する事業者が、約1,300点の電子基準点だけではサービスエリア内で十分な位置精度を確保できないため自前のGNSS連続観測局を設置している事実への対応をどのように考えるかということを指摘したい。これは、国民への正確な位置情報の入手に国がどこまで関与し、民間の役割を明確にすることを意味している。国土地理院からは、民間が設置するGNSS連続観測局などへの性能基準や検定、登録などの施策を実施しているが、この実効性や規制を強化する形の制度運用にならないか心配である。
 また、測量技術の継承についても意見しておきたい。電子基準点のみを使った測量は、GNSSからの電波やインターネットなどの通信インフラに依存しているため、例えば戦争などの緊急事態において、それらがどのくらい機能するかわからない部分がある。よって、現在のトータルステーションなどを使った測量方法の技術を継承し、万が一の時にはそちらで代替できるような施策も必要と考える。  以上

2015年問1解答案

以下に留意して答案を作成しました。

  • 私はこの手の問題で1,440字も書くのが厳しいので、前回同様の対策で8行稼ぎました。
  • 感想と意見は段落を分け、さらに文頭に”感想は””意見は”といった形で明記する
  • 空間情報技術者として答案を作成するので、その文言を入れる
  • 測量技術の最新の取り組みや過去の歴史を織り交ぜ知識をアピールする

まとめ

今回の問題もテーマがほぼ1つなので、それを何とか2つに分割して感想と意見を記述しました。
今回も勝手なことばかり書いたなと感じています。

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