【2021年空総監受験】出題傾向の分析
夏休みも終わり仕事が始まっている方も多いと思います。
コロナは相変わらずですが、暑さも一段落してきたことから9月25日の試験に向けてギアを上げていきましょう。
今回は、試験問題の傾向について分析してみようと思います。
過去問の一覧
まずは、日本測量協会が公開している過去問を一覧表に整理しました。
年度 | 問1 | 問2 | 問3 |
H29 | 空間情報技術動向の概説 1ページ | 市民講座の企画・概要 1ページ | 業務実績のプレゼン資料 パワポ8枚以内 |
H28 | ”測量”コラムへの感想・意見 1ページ | 自身の学習方法と成果 2ページ | 行政課題解決 パワポ8枚 |
H27 | ”測量”コラムへの感想・意見 1ページ | 自身の学習方法と成果 2ページ | 講演資料の作成 パワポ8枚 |
H26 | 地理院広報への感想・意見 1ページ | 自身の学習方法と成果 2ページ | 講演資料の作成 パワポ8枚 |
H25 | 技術解説(三択) 1ページ | 技術者教育資料の作成 3ページ程度 | 安心・安全・快適への貢献 パワポ8枚 |
H24 | 技術解説(三択) 2ページ | 技術者教育資料の作成 3ページ程度 | 震災復興への貢献 パワポ8枚 |
H23 | 自身の学習方法と成果 3ページ以内 | 技術者教育資料の作成 3ページ程度 | 行政課題解決 パワポ8枚 |
H22 | 業務実績-失敗事例 3〜4ページ | 自身の学習方法と成果 3ページ以内 | 行政課題解決 パワポ8枚 |
H21 | 業務実績-成功事例 3〜4ページ | 自身の学習方法と成果 3ページ以内 | 行政課題解決(三択) パワポ8枚 |
H20 | 業務実績-失敗事例 3ページ以内 | 自身の専門分野、技術分野、注目政策 3ページ以内 | 行政課題解決(三択) パワポ8枚以内 |
H19 | 業務実績-失敗事例 3〜5ページ | 技術解説(三択) 3ページ以内 | 行政課題解決(三択) パワポ8枚以内 |
H18 | 業務実績 3〜5ページ | 技術解説(三択) 3ページ以内 | 行政課題解決 パワポ8枚以内 |
H17 | 業務実績 ページ数指定なし | 技術解説(三択) ページ数指定なし | 行政課題解決 パワポ8枚以内 |
過去問は、H17の第一回試験からH29までの13回分が公開されていますが、残念ながら直近3年分(H20-R2)は非公開となっています。
時系列の観点では、以下のことがいえそうです。
- 試験開始当初の問題は、業務実績、技術解説、課題解決提案(以前の技術士試験に近い出題)の3題が鉄板だった
- H21から空総監の独自色が出てきて、学習や教育関係の問題が登場
- 同様にH26からは技術解説が影を潜めコラムへの意見や感想で文章力を問う問題が登場
- 全般的に答案ページ数は減少傾向しワード2〜3枚+パワポ8枚くらいに収斂(しゅうれん)してきている
- 近年の問題では”○○について2ページ、△△について1ページ”といった形で答案の構成を細かく指定している
問題の傾向と対策
試験問題は大きくワード系の問題(問1、問2)とパワポ系の問題(問3)に分けられます。
この分類とした理由は、”技術解説(三択)”や”学習方法と成果”といった問題が、年度によって問1や問2に出題されているため、問1、問2の分離することに意味がなさそうだったからです。
以降にそれぞれの傾向と対策を書いていきます。
ワード系問題の傾向と対策
ワード系問題を分類すると、業務実績問題、コラム問題、アカデミック系の問題、知識系の問題の4つに分かれます。
それぞれの分類を確認していきましょう。
- 業務実績問題:業務実績の説明と上級技術者の観点での評価を問う問題
- コラム問題:コラムのような文章に対する感想や意見を問う問題
- アカデミック系の問題:学習方法と成果を問う問題や技術講座を企画し概要まで組み立てる問題
- 知識系の問題:キーワードについて技術解説をする問題
業務実績問題への対策
業務実績問題は、以下のように業務実績と評価を記述する問題です。
業務実績問題は、大きくは以下を問う問題といえます。
- 業務の目的を把握し空総監としての役割を果たしているか
- 技術的な創意工夫を第三者に説明する能力(文章力)
- 空総監として業務を多面的に評価できるか
上記3つは全て重要なのですが、最も重要(採点時に差がつきやすい)なのは業務の多面的な評価だと思います。
過去の問題では、成功例、失敗例、印象に残った事項といった形で問われていますが、これはいずれも担当業務をある観点から評価する能力が問われています。
つまり、担当業務を説明するだけでなく、成功や失敗部分の評価や、技術の事後評価といったように業務を一段上の視点で評価することが求められており、その部分が他の受験者との差を出しやすい部分です。
また、評価についても技術的な評価だけでなく、収益面や学術的な面での評価、社会的な影響面での評価といった多面性があるとよりよいと思います。
コラム問題への対策
コラム問題は、以下のようなコラム的な文章への意見や感想を記述する問題です。
この手の問題に対して、コラムの内容を表面的にトレースしたような答案を作成してしまうと、深みのない作文のような”○○へ行きました。△△が楽しかったです。”といった退屈な答案となり低評価となることは必至です。
対応としては、以下のように大胆に取捨選択し論点を絞る答案、言い換えると能動的に主題を作り出す答案を作成する必要があります。
- コラムの全部に対応するのではなく一部を切り取って答案を作成する
- 空総監としての技術的、社会的な意見を必ず盛り込む
- できれば自分の専門分野の観点から意見や感想を記述する
アカデミック系の問題への対策
これはあくまで個人的な見解ですが、アカデミック系の出題の中でも”技術講座の企画・概要”は、今後出題されにくいと感じています。
その理由は、以下の通りです。(半分妄想です)
- H23〜25の3年間以外は出題されていない
- そもそも、空総監に求められるスキルセット(要件)に含まれているか微妙
- おそらく出題委員が実務派とアカデミック派に別れており、H23〜25年度の平均点が低かったことからアカデミック派が勢いを失っている(かも)
”学習方法と成果”についての問題例を確認してみましょう。
必ずしも学会に加入していなくても、例えば”Webで最新技術を学習している”といったように、最新技術の習得をアピールできる答案を作成できれば問題はない(減点要素にはならない)と思います。
知識系の問題への対策
最後に知識系の問題です。
こちらは、技術士二次試験や一次試験問題の空総監バージョンといったイメージで、以下のような問題です。
こちらは、受験者が回答しやすいように技術の幅を広めに出題してくれていますので、対策もしやすいと思います。
具体的には、以下のような方法でインプットとアウトプットを実施するイメージです。
- 自身の専門分野を中心にキーワードを整理
- Webで情報を集めて必要な資料をPDF化しておく
- 説明パターンを決めてアウトプット練習をする
空総監試験は、インターネットアクセスはできませんが、WebページをPDFなどのファイル化したものを持ち込めますし、事前に作成した答案も持ち込めます。
よって、アウトプットの練習を繰り返す必要がないため(1回アウトプットすればよい)に、試験の準備期間が短くて済む特徴があるように思います。
パワポ系問題の傾向と対策
パワポ系問題を分類すると、行政課題の解決問題、タイムリーな課題解決問題、その他の3つに分かれます。
それぞれの分類を確認していきましょう。
- 行政課題解決問題
- 行政上の課題を空間情報技術を使って解決する提案
- 自身の専門分野を提案に盛り込む
- タイムリーな課題解決問題
- 震災復興や安全・安心といったタイムリーな課題を解決する問題
- 現在であればコロナ関連の課題など
- その他の問題
- 講演資料の作成
- 業務実績のプレゼン
行政課題解決問題
行政課題の解決問題は、鉄板ともいえる問題ですので確実に練習しておくべきでしょう。
具体的には以下のような問題が出題されます。
問題自体が抽象的ですので、答案は作成しやすいと思います。
また、何種類かの答案を作成しておきたいところです。
答案作成のポイントを以下に示します。
- なるべく図表(特に図)や写真を使う
- 図表の作成には時間がかかるので、結局は何種類か答案を作成する中で準備することになります
- 自身の専門技術の説明は必須なので事前に何種類か作成しておく
- スライドの上部に問題提起、下部に結論というように、すべてのスライドの書き方を統一する
タイムリーな課題解決問題
次にタイムリーな課題解決問題です。これは、今まさに政治課題となっているような課題解決問題です。
過去問は以下の通りです。
現在に置き換えるとコロナ問題ですので準備しやすそうですが、一言で”コロナ問題”といっても様々な問題からなる複合的な問題ですので、それぞれに答案を準備しておくとよいでしょう。
- 感染防止
- 医療崩壊
- ワクチン接種
その他の問題
過去には、講演資料の作成や業務実績のプレゼンといった問題が出題されていますが、前述のようにアカデミック的なな出題は今後減っていくのではないかというのが私の見解です(間違っていたら、ゴメンナサイ)。
とはいえ、1つくらいは答案を作成しておくと、出題された時に慌てずに済むと思います。
過去問は以下の通りです。
まとめ
今回は、空総監試験の出題傾向の分析をしました。
空総監試験は、インターネットには接続できませんが、パソコンや書籍の持ち込みはOKなので、準備した結果をそのまま試験のアウトプットにできます。
このことは、空総監試験は事前準備が問われる試験であるといえます。
また、空総監試験では自身をブランディング(私は○○技術者であるという自己定義)して、その軸に沿った答案を作成していくことがとても大切だと思います。
次回以降は、今回洗い出したワード系4つとパワポ系3つの合計7種類の答案例を作成し解説していこうと思います。
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