【2021年空総監受験】出題パターン4ー知識系の問題の解き方
9月25日まであと2週間ですね。
今週の土日に加えて、来週は祝日が2日ありますので、うまく休暇を使えれば5日間(60時間ほど)は勉強できるかもしれません。
今回の記事では、出題分析7パターンのうちの”知識系の問題”について解説します。
- 実務実績問題
- コラム問題
- アカデミック系の問題
- 知識系の問題 <<== 今回はココ
- 行政課題解決問題(パワポ)
- タイムリーな課題解決問題(パワポ)
- その他の問題(パワポ)
知識系の問題は、H25年度を最後に出題されていませんが、試験対策として必須となる”キーワード学習”に直結した基本的な問題となります。
出題例
以下は、知識系問題の出題例(H25年度問2)となります。
この問題では、ワードで1ページ(1ページ36行・40文字、合計約1,000〜1,440文字)の答案を作成します。
知識系の問題で問われていること
この問題で問われていることは、以前解説したコラム問題と似ており、空総監として相応しい知識や文章力が問われていると思います。
出題例では3つのテーマから選択しますが、いずれも空間情報関連のキーワードですので回答しやすい問題だと思います。
さらに言えば、問われているのは知識と文章力(説明力)ですので、技術の簡単な説明や課題・展望が書ければ及第点はもらえると考えてよいでしょう。
答案例
答案例(2.レーザー計測、衛星測位などの新しい測量技術)は以下のようになります。
受験番号:21−006 氏名:高本 啓司 設題の「2.レーザー計測、衛星測位などの新しい測量技術」を選択し、準天頂衛星みちびきの測位技術について、現在の課題と将来展望を述べる。 具体的には、準天頂衛星みちびき(以降、QZS)を使った測位技術には、”センチメータ級測位補強サービス”や”サブメータ級測位補強サービス”がある。以降にそれらの技術と課題や将来展望を述べる。 1.センチメータ級測位補強サービスの概要と課題 センチメータ級測位補強サービス(CLAS)は、国土地理院が全国に整備している電子基準点を用いてGNSSごとの補正情報を計算し、現在位置を正確に求めるための情報を配信し単独測位における測位精度を数センチに向上させる技術である。この技術では、QZSからのL6信号を使った干渉測位を行う。 この技術の課題は、大きめのアンテナに接続した専用のレシーバーが必要で、さらにはレシーバーの価格の問題もありモバイル機器での利用が難しいのが現状である。 2.サブメータ級測位補強サービスの概要と課題 サブメータ級測位補強サービス(SLAS)は、基準局にて求められたGNSS衛星ごとの電離層などによる測位誤差の補正情報を、GPS等で普及しているL1C/A信号と同じ形式のL1S信号を使用して配信するサービスである。この信号を使って誤差を相殺することにより、通常のGNSSレシーバーの誤差である10メートル程度を、1メートル以下にまで高めることができる。このサービスは、現在普及しているGNSS受信機に改良を加えることでL1C/A信号を受信することができるためモバイル機器などへの急速な普及が期待できる。 この技術の課題は、補正信号をGPS衛星から受信するために、オープンスカイな環境での利用が推奨されることやL1S信号を常時受信する必要があるためモバイル機器での利用においてはバッテリー消費である。 3.CLASとSLASの将来展望 CLASとSLASは、現時点では受信機の価格やアンテナの小型化、消費電力に課題があることは先述したとおりである。しかしながら、課題の多くがハードウェアに関するものであるため、将来的には解決されていくものと思われる。 課題が解決されてCLASとSLASの普及が進むと、様々なソリューションに適用されていくものと思われる。例えば、昨今多発している線状降水帯などによる災害対策のソリューションを考えると、被災者の位置や救助隊の位置をピンポイントに把握することで、救助作業の迅速化や効率化を図るといったソリューションの構築が可能と考えられる。 以上
上記答案は、ページ数は1ページ、約1,000文字となります。
答案作成のポイント
答案作成のポイントは以下の3つです。
- 事前にキーワードを整理しておく
- 必要十分な回答を心がける
- 将来展望は課題解決をイメージして書くリスト
以降、個別に説明します。
事前にキーワードを整理する
1つ目のポイントは、事前にキーワードを整理しておく(キーワード学習をする)ことです。
キーワード学習といっても、今からでは。。と思う方もいらっしゃるかと思いますが、空総監試験ではパソコンを持ち込めますので、今からでも十分対策できます。
キーワード学習は、以下のように進めていきます。
キーワードの一覧を作成する
過去問を参考に、出題されそうなテーマをイメージしてキーワードの一覧を作成します。
みちびき GNSS 電子基準点 線状降雨帯 ...
キーワードの一覧は、思いつく範囲で一旦作成し必要に応じて追加していくといいでしょう。
情報源を見つけてPDF化する
キーワードに対する情報源をWebから検索しPDFとして保存します。
答案例のみちびき関連の情報源を以下に示します。
保存したPDFは、Windowsの場合はエクスプローラ、Macの場合はFinderにてキーワード検索ができますので、保存先のフォルダーは細かく分ける必要はありませんし、ファイル名もキーワードがわかる程度のもので十分です。
参考までに、私はMac Bookを使って受験しました。少数派だと思いますが。。
重要キーワードは概要をまとめる
重要なキーワードについては、概要とメリットや課題をファイルにまとめます。
以下のようなイメージで、テキストファイルやワードファイルにしておくとよいでしょう。
(概要) サブメータ級測位補強サービス(SLAS)は、基準局にて求められたGNSS衛星ごとの電離層などによる測位誤差の補正情報を、GPS等で普及しているL1C/A信号と同じ形式のL1S信号を使用して配信するサービスである。 (メリット) L1S信号を使って誤差を相殺することにより、通常のGNSSレシーバーの誤差である10メートル程度を、1メートル以下にまで高めることができる。 現在普及しているGNSS受信機に改良を加えることでL1C/A信号を受信することができるためモバイル機器などへの急速な普及が期待できる。 (課題) 大きめのアンテナに接続した専用のレシーバーが必要で、さらにはレシーバーの価格の問題もありモバイル機器での利用が難しいのが現状である。
作成したファイルはキーワード検索できるので、PDFと同じように収容フォルダーやファイル名は適当でよいと思います。
必要十分な回答を心がける
2つ目のポイントは、必要十分な回答を心がけるということです。
簡単に言うと、内容を深掘りせずに短時間での答案作成を目指すということです。
具体的には、キーワード学習の成果(PDFやテキスト)を参考にして内容を深掘りせずに短時間で答案を作成します。
こういった戦略を取る理由を以下に示します。
- 間違ったことを書かない限り大きく減点されない
- 知識や文章力が問われており、深掘りした考察は求められていない
- 他の問題に多くの時間を振り向けることで総得点の上昇が狙える
将来展望は課題解決をイメージして書く
3つ目のポイントは、将来展望については課題解決をイメージして書くことです。
”将来展望”というと、次世代の研究テーマ(例えば、携帯電話システムが6Gに移行するための課題とか)といった内容をイメージされる方もいらっしゃると思いますが、そこまでの内容はなかなか書けません。
受験者の多くは応用技術(業務課題の解決に向けた要素技術の適用)に従事しているわけですから、身近な将来展望は該当技術が実業務に適用された時のイメージだと思います。
具体的には、問3にて高い確率で出題される行政課題解決問題(パワポ)に、該当技術を盛り込んだことをイメージして答案を作成することで、具体的かつ迫力のある内容とすることができます。
答案例では、以下の部分が該当します。
課題が解決されてCLASとSLASの普及が進むと、様々なソリューションに適用されていくものと思われる。例えば、昨今多発している線状降水帯などによる災害対策のソリューションを考えると、被災者の位置や救助隊の位置をピンポイントに把握することで、救助作業の迅速化や効率化を図るといったソリューションの構築が可能と考えられる。
まとめ
今回は、知識系の問題について答案例を解説しました。
この問題は、最もやさしい部類の問題といえますので、試験戦略的には短時間で答案を作成することが重要となってきます。
短時間で答案を作成するためには、事前のキーワード収集と内容を深掘りしないことが必要となってきます。
とはいえ、知識系の問題は出題頻度が低いので、キーワード学習さえできていれば、特別な試験対策は不要な問題ともいえます。
次回は、”行政課題解決問題”を解説します。
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