教育の公的助成金について2
教育の公的な助成金についての第2回です。
今回は、”東京都中小企業職業訓練助成金”制度をご紹介します。
東京都中小企業職業訓練助成金とは
東京都中小企業職業訓練助成金(以降、東京都助成金)とは、東京都が実施している助成金で、職業訓練開発に伴う経費・賃金の一部を助成する公的制度です。
前回ご紹介した厚生労働省の”人材開発支援助成金”(以降単に、厚労省助成金)制度にと似ていますが、申請の要件が少なく使い勝手がよいのが特徴といえます。
制度の概要
東京都の発行する冊子”2019年度東京都中小企業職業訓練助成金申請の手引”には、制度の目的が以下のように説明されています。
都内の中小企業、中小企業の団体がその従業員又は構成員の従業員に対して行う短時間の職業訓練(以下「訓練」という。)に係る経費について助成を行い、労働者の職業能力の開発、向上を促進します。
出典元:2019年度東京都中小企業職業訓練助成金申請の手引
厚労省助成制度に比べて説明も簡素です。
東京都助成金は、厚労省助成金の一般訓練コースとほぼ同じ内容となっています。
制度の内容
東京都助成金は、 これも厚労省助成金の一般訓練コースと同じで、 ”自ら企画し実施する訓練”と”教育機関派遣訓練”の2種類があります。
今回は、”自ら企画し実施する訓練”を自社にて実施するケースを中心に支給要件、助成額、申請方法を見ていきます。
申請のための主な要件
申請のための主な要件は、以下の通りです。
- 都内に本社または主たる事業所の登記があること
- 申請者は下記いずれかに該当する者
- 中小企業の要件を満たす事業主(中小事業主)
- 中小事業主が2/3以上を占める共同団体
- 受講者の職務に必要となる専門的な技能・知識の取得・向上または専門的な資格の取得を目的とすること
- 専門的な技能・知識を有する指導員、講師により行われること
- OFF-JTの訓練であること
- 訓練の実施場所は都内
1.については都内に本社や支店などの法人登記があればOKです。
2.については厚労省助成金と同じです。具体的には、情報通信業や情報サービス業の場合、資本金3億円以下か従業員数300人以下のどちらかを満たせばOKです。 ただし、みなし大企業(大企業からの出資が半数以上あるなど実質支配されている企業)は申請要件を満たしませんので、ご注意ください。
厚労省助成金との差異は、社内教育制度の整備やレビュー(セルフキャリアドック)が省かれている点で、その他はほぼ共通しています。したがって、東京都に法人登記さえあれば申請までの労力が低く使いやすい制度といえます。
申請方法
申請は、以下の流れとなります。
- 窓口での相談
- 都内に4か所ある職業能力開発センターへ連絡して交付申請の相談をします。
- 交付申請書提出
- 交付申請の書類を作成し提出します。書類審査が通ると交付決定通知が送られてきます。
- 訓練の実施
- 訓練を実施します。
- 実績報告書の提出
- 訓練終了日から2か月以内に実績報告書を提出します。実績報告書は審査され金額が確定すると通知が送られてきます。
- 助成金の請求書提出
- 請求書を提出し助成金が振り込まれます。
助成額
助成額や助成率は、以下の表のようになります。
注意が必要なのは、厚労省助成金と同様に助成金には上限があることです。
- 賃金助成は、1人年間100時間が上限
- 事業所としては年間100万円が上限
- ”自ら企画し実施する訓練”の場合、経費助成はない(厚労省助成金とは異なります)
支給額の試算
例えば、1年で6人に対し100時間の訓練を実施した場合の助成額は以下となります。
助成額=430円×100時間×6人=258,000円
まとめ
ここまで東京都助成金の制度の概略を見てきましたが、厚労省助成金よりも少ない手間で、助成金を申請できそうです。
次回以降は、具体的な手続きや申請書類の書き方を見ていきたいと思います。