【2021年空総監受験】業務経歴書の書き方2
今回は、受験願書の中で最も重要な業務経歴書(3)の書き方を解説します。
業務経歴書(3)は、責任者を務めた主な業務経歴として最大5件記入しますが、主に受験資格③の業務責任者の要件(黄色下線部分)を確認するために使われます。
③空間情報関連業務に15 年以上従事し,かつ,当該業務の責任者(原則として主任技術者)を 2 回以上経験していること
“令和3年度「空間情報総括監理技術者」資格認定試験の受験案内”より引用
書き方を誤ってしまうと、実際には受験資格はあるのに”受験資格なし”と判断され受験できないといったことも起こり得ますので、慎重に書いていきたいですよね。
一方で、業務経歴の書き方には押さえるべきポイントがいくつかあります。
今回の記事では、業務経歴書をどのように書いたらいいのか悩んでいる方に向けて、書き方のポイントを解説していこうと思います。
業務経歴書(3)書き方のポイント
前述のように業務経歴書は、業務責任者を2回以上経験していることの確認が主な目的ですので、受験者はほぼ必ず”私は業務責任者でした”と記述すると思います。
一方で、業務経歴書を評価する立場からすると、受験者が”本当に責任者だったんだな”ということを確認したい、感じたいと考えているはずです。
では、”本当に責任者だったんだな”と感じさせるためには、何が必要なのでしょうか?
それは、評価者の知りたい情報を具体的に書くということです。
評価者は、大量の業務経歴書を短期間で評価するわけですから、業務経歴書の評価にはポイントがあるはずです。
私の考える評価のポイントは以下の3つです。
- 業務の技術的な軸の部分を把握している
- 業務を主体的に運営・コントロールしている
- 業務の成果が表現されている
これを書き方レベルまでブレークダウンすると、以下のように整理できます。
- 業務の中心となる技術を説明する
- 業務責任者としての役割を具体的に記述する
- なるべく数字を使って表現する
- 成果は項目を分けて記述する
業務経歴書(3)の具体例
では、業務経歴書の具体例を見てみましょう。
今回は、私が担当している警察向け通信指令システムを例に、残念な例と良い例を比較してみることにします。
業務経歴書(3)の残念な例
まずは残念な例を見ていきましょう。
私は、警察向け通信指令システムの構築に責任者として従事しました。
警察向け通信指令システムとは、110番を受理する通信指令センターにてGISを使って通報者の場所特定や警察官への現場急行を指令するシステムで、緊急配備の発令やカーロケーションの表示も行います。
業務は、3年度をかけて要件定義から設計、製造、テストまで行い無事にリリースすることができました。
この例は、一見問題なさそうに見えますが、以下の点が気になります。
- ”私”の具体的な役割がわからない
- 業務に適用した技術の軸や応用方法などの創意工夫がわからない
- プロジェクトやシステムの規模感がわからない
具体的な事実がほとんどないため、業務の表面をトレースしただけの内容に感じられます。
結果、文章としても迫力に欠けており、評価者からは”ホントに責任者だったの?”とか、”作業者として経験した業務なんじゃないの?”と疑問を持たれる可能性があります。
こういった、”あらぬ疑い”は避けたいですよね。
業務経歴書(3)の良い例
では、良い例を見てみましょう。
【担当業務と役割】本業務は空間RDBMSを採用した自社製GIS製品をベースとした警察通信指令GISを構築する業務である。私はプロジェクトの責任者の立場で約15名の取りまとめを行い、要件定義、仕様策定、工程管理を行なった。
【成果】日本最大の警察組織において空間RDBMSの特徴を活かした通信指令業務(110番受理、無線指令、緊急配備)を実現した。具体的には、RDBMS上の各種空間データを使って110番受理に必要な入電時の周辺地物等の検索やジオコーディング等を実現した。また、無線指令に必要な約2,000台のパトカー動態の地図表示や緊急配備に必要な逃走シミュレーション、大型表示板への地図表示なども実現した。
上記の例では、何をしたのか、どんな役割だったのか、成果は何かといった責任者として把握すべき事項が具体的に表現されていますので、評価者は安心して受験資格ありと判断できます。
記述のポイントは以下となります。
- 私の役割を具体的に記述
- 業務に適用した技術の軸は空間RDBMSであることを明記
- 成果として、軸となる技術を110番受理時の支援機能やジオコーディングなどに応用
- 具体性を増すためプロジェクトの人員数やシステムの規模に関する数字を記述
まとめ
今回は業務経歴書の業務内容の書き方を説明しました。
業務経歴書を作成するポイントは、業務経歴書を評価する人がイメージしている責任者像を把握し、それを極力事実で裏付けるような業務経歴を作成する点となります。
業務経歴書は、事実、技術の軸、主体性を意識して書いていくと良い仕上がりになると思います。
次回は、業務経歴書全体を通した技術の軸の通し方(=ブランディングの方法)について解説したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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