『わかりやすい地理情報システムの解説』と題した講演をしました
2021年10月9日(土)に、日本技術士会近畿本部情報工学部会様にて、『わかりやすい地理情報システムの解説』と題した講演を行いましたので、その概要を報告します。
きっかけ
事務所にて請け負っている作業(地図データの作成)中に、全国の県庁所在地データを探していたところ、アマノ技研さまのサイトにて、無償で公開していることがわかりました。
ホームページに記載されている利用条件には、“二次配布のみ禁止”とありましたので、ありがたく利用させていただきました。
同じ技術士ということもあって、お礼を兼ねてメールで連絡を取らせていただき、その後のやりとりの中で、天野さまより“講演会を”とのお誘いがあり、お引き受けした次第です。
以下が講演会の内容となります。
講演の準備
講演時間は実に1時間10分ほど。これまで15分程度の講演や半日程度のハンズオンセミナー講師の経験はありますが、1時間以上の公演は未経験です。
話すだけなら何とかなるとしても、聴講いただく皆さんにには休日に時間を割いていただくわけですから、それなりに有意義なものとする義務があるなと感じていました。
以下に、以降に講演の概要を示します。
GISの概要
私が長年担当している警察通信指令システムを題材として、GISの概要を説明しました。
現在は、110番通報者の70%以上が携帯電話からとなっており、通報と同時に通信キャリアから通知される位置情報により通報場所を地図に表示するお話、地図上には数百台以上のパトカーや警察官の位置をリアルタイムに表示して発生場所への急行を指示するお話、重要な事案の場合には地図を使って緊急配備を発令するお話などをした後に、GISの一般論的なお話をしました。
地図データ
続いて、地図データフォーマットのお話をしました。
シェープファイルやWKT、KML、GeoJSONを仕様書類を見ながら説明し、実際にダンプして内容を確認するなどしました。
例えば、点1点で構成されるシェープファイルをバイナリダンプすると以下のようになります。
シェープファイルの仕様書を確認すると、以下のように先頭4バイトは”ファイルコード”と呼ばれる固定値(十進数で9994、16進数で270A、ビッグエンディアン)となるといった説明をしました。
また、同じファイルをGeoJSON形式に変換(ogr2ogrにて変換)すると、以下のようなテキストファイルとなります。
勘違いしやすい点として、一般に知られている”地図データフォーマット”は、あくまでも地図のデータ交換用のフォーマットですので、GIS製品の内部で使用されているフォーマットとは異なる点をお話ししました。
QGISを使ったデモの実施
また、QGISを使ってこれらの地図データを表示したり簡単な解析をするデモを行いました。
以前の記事でもご紹介した以下のようなランキングマップとヒートマップ(下図は同時表示)を行いました。
地図データベース
PostGISを例に、地図データをRDBMSで取り扱う概念を説明し、以下のような簡単なデモを行いました。
- 以下のデータを使ってPostGIS上に地図データベースを構築
- OpenStreetMapのダウンロード用データから抽出した店舗データ
- 国交省のサイトからダウンロードした道路データ
- QGISを使って上記地図データベースから”道路沿いの店舗”をSQLを使って検索
図にすると以下のようになります。
検索結果は以下のようになります。
WebGIS
最後に、ブラウザを使って地図表示するWebGISについて、ベクトルタイルを中心に説明しました。
具体的には、”タイル”と呼ばれる地図データの分割単位を説明し、QGISを使って航空写真とベクトル地図の重ね合わせのデモを行いました。
まとめ
今回は、思わぬ流れで講演の機会をいただきました。
日本技術士会近畿本部の方々はとても勉強熱心で様々な観点でのご質問をいただき、一部は後日回答させていただくほどでした。
機会があればまた講演できればと思っています。
資料やデモ用のデータは、以下のGithubにて公開していますので、よかったら参考にしてください。
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