GIS開発の現状

独断的になり恐縮ですが、長年GIS開発の現状を見てきた立場から、以下を強く感じています。

  1. GISを開発している会社はソフトウェア開発業界の会社ではないケースがある。逆に、ソフトウェア開発会社は地図や位置情報に関する経験や知識が少ない。
  2. 地図や住所データが高価でシステム化の費用対効果が乏しく、官公庁くらいしか導入が進んでいない。結果としてシステム開発案件が少なく開発者の基盤が広がっていない。
  3. 上記の結果として、構築したシステムが業務効率化や新規事業に寄与するなどの効果を発揮するケースが少なくユーザーがGISを構築する動機が縮小している。

要約すると、GIS開発は地図および属性データを作成する会社の寡占状態が明白で、システム開発会社は末席に位置しています。エンドユーザーに至っては、思うようにシステム構築ができない状況で、日本の一般のシステム開発から20年程度遅れている現状だと感じます。

餅屋は誰なのか

餅は餅屋とよく言いますが、これは専門分野は専門家に任せた方が良いという意味で使われています。
実際のところ、GISの専門家は世に存在していそうでしていないのが現状だと思います。
その理由は前述のように、データの専門家はシステムに暗く、システムに明るい専門家は地図データに暗いという現状があります。そこに地図や属性データの寡占化の問題が絡み、GISが伸長しない現実が生まれています。

話を戻しますが、GIS構築の”餅屋”は誰なのでしょうか?
それぞれが片手落ちのデータ作成会社でもなければシステム開発会社でもありません。
最も理想的なのは、Googleのようなシステムとデータの専門家が同居している組織であることは間違いありませんが、残念ながら理想が高すぎます。

本当に有効に利用されているGISの例

私は長年、緊急通報(警察や消防です)向けGISの構築や運用を行ってきました。
このシステムは、地図データや属性データをお金に糸目をつけずに利用しています。その理由は、言うまでもなく”安全安心”の一部を買うシステムだからです。
このシステムの特徴としては、以下のようなものです。

  • 24時間稼働する
  • 地図データの中でも最も高価な住宅地図データ(実質日本で1社独占)を利用する
  • 最新のデータが場所特定に有効なためデータ更新を頻繁に行う
  • 高速な地図描画が必須
  • パトカーなど大量の移動情報の地図表示
  • タウンページデータなど大量のデータを高速検索して地図に表示
  • 現時点では、大半がオンプレミスのシステム(WebのAPIを利用しない)

それでもある不合理

ただ、これらシステムの構築においてもGISの閉鎖的な市場環境は大きく影響しており、特定のGISパッケージ(いわゆるSDKや地図描画エンジン)の仕様をマニュアルレベルで理解したプログラマーが構築した方式やGISベンダーに過度に依存した運用が横行しています。
例えば、GISパッケージには地図データの差分更新機能があるにもかかわらず、地図データの更新の度に数ギガバイトの地図データをすべて配信する方式だったり、電話帳データと住宅地図データを名寄せするために多くの金額をGISベンダーに発注したりなどの不合理が多く行われているのが現状です。

当事務所が提供できること

このような現状を踏まえ、当事務所が提供できることは以下だと考えています。

  • 地図データ作成会社が提供する地図データを最大限に活用する方法の提案
  • 地図や属性データの更新も含めた運用まで考慮したシステムの要件や方式の提案
  • 地図や属性データのGISへの導入や利用方法の提案