空総監対策6−2014年問1
今回は、空総監2014年問1の答案を作成してみましょう。
予想問題
国土地理院広報 第547号(2014年1月発行)に掲載された、稲葉国土地理院長(当時)の「新年のごあいさつ」からの出題です。
以下に全文を引用します。
回答案は、1,440字以内(36行✖️40文字✖️1ページ)以内で作成します。
例年の設問には空間情報技術者としての感想と意見を示せとあり、知識、思考力、文章力を問うとも明記されています。
回答案
以下のように回答案を作成しました。
受験番号:05−031
回答案
氏名 :高本 啓司
設問の資料“新年のご挨拶”は、国土地理院の昨年度の活動の総括や今後の取り組みについて述べられている。以降に、空間情報技術者の立場で感想や意見を示す。
1.災害への取り組みについて
昨年の山口および島根地方の集中豪雨、関東地方の竜巻、台風26号および27号による伊豆大島の土砂災害等への対応として、国土地理院にて空中写真撮影、正射写真図などを作成し災害対応に必要な地理空間情報を速やかに提供したことが述べられている。
この取り組みへの感想は、地球温暖化の影響で近年多発している風水害やそれに伴う土砂災害の救助活動や復旧支援活動への空間情報技術の適用は、作業の迅速化や効率化に直接貢献するものであり社会的な意義が大きいと感じた。
この取り組みへの意見としては、最近多発している“線状降水帯”への対応が課題だと考える。線状降水帯は、積乱雲が帯状に重なり長時間にわたって強い雨を降らせる現象で、数時間程度の直前にならないと予測ができなという課題がある。現在は、レーザーを使って待機中の水蒸気を計測して線状降水帯を予測する研究も行われており早急な実用化と地理空間情報との連携が必要と考える。
2.地図の刷新・電子配信について
次に地図の刷新・電子地図の配信については、2万5千分の1地形図について、多彩な色の採用や地形の陰影表現などを行ったことやインターネット上での地理院地図の公開、工事図面等を利用して情報収集を迅速化した電子地図の刊行について述べられている。
この取り組みへの感想は、施設管理者が保有するCADデータなどを使って最新の現況に一致した地図が迅速に、紙や電子媒体、インターネットなどの複数の媒体で提供されることは地図を利用する者にとって利便性の向上が期待できると感じた。
この取り組みへの意見は、民業の圧迫にならないか懸念している。具体的には、国土地理院の役割は全ての地図の基礎となる“基図”の作成・提供と断層や土地利用などの社会的に重要な主題図の作成であるためこれを超えた地図の作成については、地図調整業者などへの民業の圧迫となる可能性があると考える。また、迅速な地図の提供は好ましいが、データの誤りを見過ごして刊行してしまっている問題も発生しており、図化や点検工程を見直し信頼性の高いデータの提供が必要であると考える。
3.SSPについて
最後にSSPについては、測量作業の効率化を目指して電子基準点のみを使う基準点測量のマニュアルを整備したことについて述べられている。
この取り組みへの感想は、GPSと電子基準点を使えば従来の三角点や水準点を使った測量作業が大幅に効率化される可能性があると感じた。
この取り組みへの意見は、特に水準点測量について精度の問題がないか十分な検証が必要と考える。 以上
以下に留意して答案を作成しました。
- 私はこの手の問題で1,440字も書くのが厳しいので、前回同様の対策で8行稼ぎました。
- 今回の問題は大きく3つのテーマについて書かれていたため、それを全て拾ってしまうと最後は字数が足りなくなります。
- 一方で、字数が足りないと答案に具体的な説明を埋め込めずに抽象的な答案となってしまいます。
- これを回避するためには、今回の答案のように特定のテーマ(今回の場合は最後のテーマ)を軽く触れる程度にするか、思い切りよくテーマを2つに絞るかの選択が必要だと思います。
- テーマを絞る場合は、導入の部分で”災害への取り組みや電子地図等の刊行について述べる”などの説明が必要と思われる。
- 今回は、SSPを丸々無視することはリスクがありそうだったので、テーマを絞らずに答案を作成しました。
- 感想と意見は段落を分け、さらに文頭に”感想は”、”意見は”といった形で明記する
- 空間情報技術者として答案を作成するので、その文言を入れる
- 測量技術の最新の取り組みや過去の歴史を織り交ぜ知識をアピールする
まとめ
今回は、問題文が複数のテーマ別に分かれており書きやすかったです。
ただし、前述のように”字数不足”の問題に直面し、取捨選択に近い判断を迫られました。
ここで重要なのは、”所詮試験だ”ということです。つまり、及第点が取れれば合格なので、問題点はあったとしても加点部分で点数を稼いでいれば、”それでよし”と割り切り、次の問題に時間を割いて得点を重ねていくスタンスが必要となってきます。
所詮、試験ですから、満点を目指す必要はないということに尽きます。