GIS実習オープン教材の学習(その19)
今回は、第11回ラスタデータの分析の課題1 数値標高モデルの視覚的分析の事前作業その2を行います。
参考URLは、以下になります。
https://gis-oer.github.io/gitbook/book/materials/tasks/t_15.html
課題の内容
今回の課題を以下に示します。
富士山周辺のDEMデータを用いて、標高区分図、傾斜区分図、傾斜方位図、陰影図、3D地図を作成し、レイアウトしてください。また、富士山の地形の特徴を整理し、400字程度でまとめてください。
第11回・ ラスタデータの分析 課題1· 数値標高モデルの視覚的分析 GIS実習オープン教材
今回は、課題で使用する画像データの内容を確認しましょう。
課題に取り組む前にデータの内容を把握しておくことで、より深い理解が得られます。
課題で使用する画像データの確認
今回は、以下の手順で画像データの内容を確認します。
1.エクスプローラによる画像ファイルの概要確認
2.QGISによる画像ファイルの概要確認
3.考察
1.エクスプローラによる画像ファイルの概要確認
課題で指定された下記ファイル(画像)をダウンロードし解凍してください。
https://github.com/gis-oer/datasets/raw/master/tasks/fuji_task.zip
上記ファイルには富士山周辺の画像データ(GeoTIFF)が1枚入っています。
エクスプローラ上で画像ファイル(fuji_2000_8.tif)を右クリックしプロパティを表示します。
以下の情報が得られました。
・バイト数:13,315,197バイト
・ピクセル数:1,833×1,814
・ビットの深さ:32ビット(4バイト)
ここからは、”1,833×1,814ピクセルの画像を1ピクセルを32ビットで表現”していることが読み取れますので、画像データの量を計算してみましょう。
1,833×1,814×4バイト=133,300,248バイト
ファイルのバイト数(13,315,197バイト)からは14,949バイトの差がありますが、これは後述する座標情報などを格納するためのヘッダー部となります。
2.QGISによる画像ファイルの概要確認
次に、画像ファイルをQGISに読み込みレイヤプロパティを表示します。
”レイヤプロパティ”ダイアログから、”情報”を指定すると下図のようにレイヤ(画像)の情報が表示されます。
ここからは、以下の情報が得られます。(表示されているのは、”gdalinfo -stat”で取得した情報と同じです)
・画像のXY:X=1,833、Y=1,814
・平面直角8系へ投影済みの画像で単位はメートル
・実距離(メートル)は、X=50,571(-6,150~ 44,421)、Y=50,048(-95,425~-45,377)
・高さを1ピクセルごとに32ビット浮動小数点で表現
・高さ(メートル)は、-2.5(最小)~3,753.7(最大)
上記情報から1ピクセルあたりの実距離は以下のようになります。
X軸 50,571÷1,833=27.589メートル
Y軸 50,048÷1,814=27.589メートル
3.考察
これまでの作業で得られたGeoTIFFファイル全般に関する情報を整理します。
・ヘッダー部と画像部に分かれている
・ヘッダー情報には座標情報などが設定されている
同様に、今回使用するデータに関する情報を整理します。
・1ピクセルあたり実距離約27メートルの矩形を表現
・1ピクセルを32ビット浮動小数点で高さを表現(マイナス表現も可)
また、課題で使用するデータは、国土地理院の下記成果物を加工してGeoTIFF形式に変換していると思われます。
[blogcard url=”https://fgd.gsi.go.jp/download/ref_dem.html”]
上記データは、下記のように5メートルごとの矩形の高さが羅列されています。
<gml:tupleList>
地表面,1171.94
地表面,1168.59
地表面,1165.52
地表面,1162.67
地表面,1159.43
地表面,1157.04
地表面,1153.67
地表面,1150.51
地表面,1147.34
地表面,1145.47
地表面,1142.56
地表面,1140.25
最終的に整理すると、今回使用する画像データ(GeoTIFF)は下図のように作成され、ヘッダー部と画像部に分かれた構造であるといえそうです。
まとめ
ここまで、以下を学習しました。
- GeoTIFFファイルの構成概要(ヘッダー部と実データ部)
- 今回使用するGeoTIFFファイルの範囲や高さの確認
- 今回使用するGeoTIFFファイルの高さの設定方法
GeoTIFFファイルは、一見アナログっぽい完全なデジタルデータということができそうで、数字の羅列であるDEMデータを、元データの情報を残したまま可視化もできるという優れものといえそうです。